酒には五味ありと言われている。甘・酸・辛・苦・渋、すなわちあまい、すっぱい、からい、にがい、しぶいの5つの味である。もともと、日本酒の味は複雑微妙なこと、世界の酒の中でも特徴的であり、分析化学の発達した現在では無慮数百の成分と言われているが、大雑把に五つの味でくくって表現されている。甘口、辛口の好みはあるが、酸っぱ過ぎても飲めない。苦みや渋みが多すぎても飲めたものではない。しかし酸や、苦み、渋みがないとこくのない薄ぼけた味となる。旨い酒にはならないのである。五味が混然一体となった調和こそ酒の醍醐味で、飲めば飲むほど旨くなる酒である。私はこんな酒を「五味一如」<※1>と造語して楽しんでいる。多様のものが一体化した調和こそ目指すところであろう。 |