NishiNoSeki/Kayashima Sake Brewing Co.Ltd
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Nishi No Seki & I ●第8回 【吟醸酒が何故市販されなかったのか
●「西の関と私」は、平成7年大分銀行の大銀経済研究所が発行した「おおいたの経済と
 経営」誌に、連載したものを集録しています。
●はじめに .
 
 吟醸酒がこれだけの歴史を持ち、社運をかけるほどの意気込みで造られながら全く市販されなかったということは、今から考えると誠に不思議なことであった。その理由を私なりに想像すると次のようなものであろうか。
①羊頭狗肉<※1>のたとえもあるように、あくまでも看板のための酒と考えられ少量の吟醸酒を造って入賞を勝ち取れば宣伝材料となり、地方醸造家の登竜門的な役割も果たすことができ、それなりの目的が達成された。

②吟醸酒は造るのに大変な手間がかかり、量産はもとより不可能で製造原価は極端に高いため、醸造家自身販売について全く問題にしないか、あきらめていたのではないかと思われる。もちろん試みがいろいろとされたかもしれないが。

③市販するとしても、当時の特級、一級、二級に混和された例が多く、吟醸酒そのままの良さや特長を理解させることができぬばかりか、慣れない香味のために普通市販酒と比較して、新酒くさい、麹くさい、薄っぺら、お燗をしたらまずい等、むしろマイナスの批評を受けたりして一般市場向けとは考えられなかった。

④戦後では昭和37年(1962)の酒税法改正までは級別毎に規格、アルコール濃度が決められていて現在のように原酒のままや、あるいは高濃度酒も自由に市販することが出来なかったので、味の調和を尊ぶ吟醸酒もそのままの形では出荷できなかった。

麹の種付け
(平成22年)



酒母の仕込み(平成22年)




出来上がった酒母(平成22年)
 以上のように吟醸酒は消費者には全く知らされなかったタイプの酒であり、在来の日本酒があまりにも長年日本人の味覚に慣れすぎてきたこともあり、このニュータイプの酒は全く別の酒かと思われるほどであった。しかも高価格ときては簡単に受け入れられなかったのも無理は無いと思われる。
<※1>羊頭狗肉:看板は上等でも実際に売る品物をごまかし物で、劣悪であること。
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第1回:創業
第2回:絵との出会い
第3回:サイクリング旅行
第4回:七高と東京大学進学
     と東京大空襲
第5回:戦後の再出発
第6回:親子の杜氏、
     中村千代吉と繁雄
第7回:吟醸酒市販の
     さきがけ
第8回:吟醸酒が何故市販
     されなかったのか?
第9回:当社の吟醸酒市販の
     動機
第10回:「秘蔵酒」と命名
第11回:秘蔵酒発売後の経過
第12回:酒の手造りとは
第13回:酒造り唄
第14回:酒屋の主人の役割
第15回:酒の五味と秋上がり
第16回:結婚式の酒
第17回:「キウイフルーツ
      ワイン」の製造
第18回:恩師・坂口謹一郎
     先生のこと
第19回:地域密着
第20回:海外出荷
第21回:吟醸酒と普通酒の
     今後について
第22回:最近の業界動向
第23回:結び
四代目 萱島 須磨自
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萱島酒造有限会社
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