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西の関と私

第15回

【酒の五味と秋あがり】

酒には五味ありと言われている。甘・酸・辛・苦・渋、すなわちあまい、すっぱい、からい、にがい、しぶいの5つの味である。もともと、日本酒の味は複雑微妙なこと、世界の酒の中でも特徴的であり、分析化学の発達した現在では無慮数百の成分と言われているが、大雑把に五つの味でくくって表現されている。甘口、辛口の好みはあるが、酸っぱ過ぎても飲めない。苦みや渋みが多すぎても飲めたものではない。しかし酸や、苦み、渋みがないとこくのない薄ぼけた味となる。旨い酒にはならないのである。五味が混然一体となった調和こそ酒の醍醐味で、飲めば飲むほど旨くなる酒である。私はこんな酒を「五味一如」<※1>と造語して楽しんでいる。多様のものが一体化した調和こそ目指すところであろう。

ところが今は錦秋の秋、酒に「秋上がり」という言葉があるが、この時期である。春に出来た酒が夏の炎暑の下で酒蔵に眠り、秋風とともに貯蔵温度が下がってくると不思議にぐっと旨味とこくが増すのである。このころから正月にかけてが酒の一番の需要期に入るわけで誠にありがたい現象である。

若山牧水の歌に「秋風や、大和の国の稲の穂の酒の味わい日にまさりけり」の歌がある。さすが愛酒家牧水の面目躍如たるものがある。「白玉の歯にしみ通る秋の夜の酒は静かにのむべかりけれ」の歌も有名である。秋上がりの酒をイッキ飲みではなく、楽しく飲んでいただきたいものである。

※1一如(いちにょ):ひとつになって分かれないこと。

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